事件の概要
2006年10月23日、無実の畠山博さん(当時45歳)が、交際中の女性と共謀して、その女性の息子に暴行を加え、殺害したとされた秋田・大仙市事件。一、二審で殺人の共謀共同正犯として有罪(懲役16年)とされ、昨年7月に最高裁で刑が確定しています。
■作られた筋書き
事件当日午後4時頃、畠山さんは交際中の女性S(当時35歳)と、Sの息子R君(当時4歳)と3人で1泊ドライブに出かけて帰る途中に大仙市の「道の駅」に到着。畠山さんはそこで2人と別れました。これが事実です。
しかし、検察が作り上げた犯行の筋書きは次の通りです。
・2人が駐車場の車内で性行為をしようとした時、R君がじゃまをしてきた。
・2人は交互に暴行を加え、畠山さんはR君の頭部をコーヒーのボトル缶で殴打するなどして失神させた。
・畠山さんがSにR君の殺害を懇願し、Sはこれを受け入れR君を排水路に投げ込んで殺害した。
畠山さんは、捜査段階で虚偽の「自白」をさせられましたが、公判ではR君に対する暴行や殺人の共謀など一切を否認し、無実を主張してきました。裁判所は、おもに畠山さんの「自白」とSの供述によって有罪と認定しました。
■物的証拠なし
畠山さんの犯行を示す客観的・物的証拠は一切ありません。犯行時刻とされる時間帯は10月下旬といってもまだ暗くはなく、犯行現場とされる駐車場は事件当時大変混雑しており、車内で幼児をその頭皮が剥落するほど殴打すれば、通行人などが当然気づくと思われるのに、目撃者はいません。
Sや畠山さんがR君を殴打したのであれば、畠山さんの車に血痕などの痕跡が残るはずですが、警察のルミノール検査などの結果では一切見つかっていません。他にも、殴打したとされる缶やSの供述でR君の頭の血を拭いたとされるタオルなどの物的証拠も発見されていません。
■犯行は不可能
Sの供述によれば、畠山さんの軽自動車の中でSと畠山さんが交互に失神させるまでR君に暴行したことになっています。そのような残虐な行為が白昼、混雑している駐車場の車内でおこなわれたということ自体、信じがたいことですが、国民救援会が暴行の再現実験をおこなったところ、「自白」のような暴行は不可能であることが確認されました。
■作られた「自白」
警察は畠山さんをホテルに3日間にわたって軟禁状態にして取り調べ、怒鳴ったり暴行を加えるなどして「自白」を強要しました。
一方、Sは親しい男性や友人に、畠山さんの関与はまったく述べず、自分がR君に暴行し殺したと告白しています。畠山さんは事件に全く関係なく、「自白」は警察が作り上げたものです。
現在、再審弁護団を結成し、再審申し立てを準備しています。
守る会の連絡先/署名等
【激励先】
〒990-2162 山形市あけぼの2―1―1 山形刑務所 畠山博様